オレ、このままでいいのか
名前は西隆二郎40歳。都内の製造メーカーに勤める会社員で、勤続16年の中間管理職。妻と子供2人の4人家族の主でもある。社会情勢の変化のスピードが目まぐるしい世の中、コロナ禍でリモートワークの推進など、現在勤める会社においても働き方を方向転換せざるを得ない状況にある。
住宅ローンがあと25年残っていることもあり、現在のところ会社を辞めるつもりはないが、本当にこのままでいいのかという不安を抱えている。工場の現場では作業がAIに置き換わることで、社員削減のリストラが始まった。もちろん自分は営業だから大丈夫なんてことはなくて、営業業務だってこれからは全てAIで代替えできる世の中になるというではないか。会社に依存せず自分らしい働き方・生き方を模索したいが、かと言え、いますぐ副業できるようなスキルも持ち合わせていない実情。さてどうしたら良いものか・・・。
TECとの出逢い
とりあえず、いま不安に感じていることや、死ぬまでにやってみたいことを検索ワードとして入れてみた。「自分らしい人生」「信頼できる仲間」「世界旅行」「初心者向け英会話」などだ。すると「たびいく」というWebサイトにたどり着いた。どうやら旅と初心者歓迎をうたっている英語のコミュニティのようだ。「英語の勉強はしたくない!でも外国人と仲良くなりたい!」というトップページの言葉に「まさに俺のことだ!」と心の中でつぶやいた。
たびいくのWebサイトのトップページには「たびいくEnglish Community(TEC)」の案内が載っていて、かつて英語の駅前留学にて勉強をしていたのを思い出した。当時から仕事が忙しくてクラスに出たり出なかったりで、結局途中で退会し、結局モノになっていないが、英語が話せるようになりたいという夢は今もある。もし英語を自由に使いこなせるようになれば、転職の道も開けるかもしれない。そう言えば海外で働いてみたいという夢もいまだ捨て切れていないのだった。ただ、一度高い授業料を払って挫折しただけに、二の舞になるのはもうゴメンだ。
Webサイトには管理者の山村ソウタ(Solar)という人の経歴が載っていた。彼もかつては今の自分と同じように膨大な仕事に追われ、上司との関係も悪く、家族との時間もろくに持てず、43歳の時に脱サラして、家族で1年かけて世界一周の旅に行ってきたという。自分にはそんな勇気はないが、気になる存在ではある。家族一緒での1年に渡る旅って一体どんなものだったのだろう。「たびいくEnglish Community(TEC)」の内容詳細を見ていくと、メンバーの体験談も載っている。「私はいまだに英語はほとんど話せないけど、単語とジェスチャーだけでも楽しく続けられている」と書かれてある。それって本当なのか?
TEC無料体験に参加してみた
Webサイトには1ヶ月の無料お試し体験参加ができるとある。果たして単語とジェスチャーだけでも楽しく続けられるって本当なのかを確かめてみたくなり、参加してみることにした。今の生活において英語を使うことなんて全くないので、英語が出てくるかが不安しかないが、まぁ1ヶ月試してみて、合わなければ止めたら良いだけのことと考えたら少し気が楽になった。リモート勤務になったことで通勤時間の往復1時間半が浮いたので、英語学習の時間に割くことができそうだ。
最初のオリエンテーションを受講したところ、TECには日々の英語学習の成果を報告し習慣化する仕組みと、実際に英語で会話するオンラインセッションの仕組みがあることがわかった。週2回のオンラインセッションでは事前にテーマが与えられ、当日各自が発表する回と、事前テーマはなく、当日ランダムにいきなり質問されるという2つの流れがあった。事前にアメリカ人講師に英文を添削してもらうこともできるらしい。実際参加してみると、メンバー同士の仲が良いことに気づく。聞くところによると、それぞれが直接会ったことはなく、あくまでオンライン上で知り合った仲だという。なのにこんなにも仲良くなるものなのか。。。管理者のSolarさんが、メンバーをうまく気分を乗せたり、欠席が続いている人に様子を伺ったりしながらフォローしているようだ。英語でわからないところをメンバー同士で教え合っているのも垣間見ることができた。
英語が出てこない悔しさ
お試し参加に参加してみると、メンバーの皆さんが好意的に話しかけてくれ、少しは緊張は解れた。zoomセッションでは、単語とジェスチャー、そして日本語もチャンポンに話しているメンバーが確かにいた。でもやけに堂々としている。彼女よりかは自分の方が英語力はあると思うものの、言いたいことが声にならない。というか単語すらすっかり忘れてしまっていて、「あー」「うー」と唸ることしかできない自分がめちゃくちゃ恥ずかしい。なんてことだ。ここまで英語が出てこないなんて。。そしてデタラメ英語の彼女の言いたいことの方がみんなに伝わっている現実。。とにかく悔しさいっぱいのzoomセッションだった。
プライドを捨てる
後ほど、Solarさんから「英語はあくまで話す道具に過ぎず、伝えたい想いと表現力があれば案外相手に伝わるもの」とのアドバイスをくれた。なまじっか英語を勉強していただけに、「完璧に英語を話さねば!」というプライドにより言葉が出てこなくなってしまうそうだ。でも言葉を発信しなければ当然相手には何も伝わらない。その時は言葉に変わるもの、例えば、ジェスチャー、モノマネ、表情、絵など様々な代替手段によって想いを伝えてみる。また、TECは英語のコミュニティなのに、「ジブリッシュ」という意味のないデタラメ言葉で話すなんていうこともセッションの初めに取り入れていて、やってみるとすごく恥ずかしいけど、その馬鹿馬鹿しさで緊張が解れリラックスができた。そんなことをしていくと、100%は伝わらないかもしれないけど、聞く相手も一生懸命理解してくれようとしてくれるらしい。Solarさんは世界一周の旅で様々な国の人たちとコミュニケーションを取ってきただけに説得力がある。
メンバーの中にはSlackというメンバー内で共有しているコミュニケーションツールに、「単語が覚えられなくて悔しい」「英語が聞き取れなくて情けない」「言いたいことが言えない自分にイライラする」なんていう呟きが載っている。自分ならそんなこと思っていても心の中で思うだけで表には出さないのに。。そんな呟きにもメンバーのみなさんは決して批判することなく、ただ受け止めてくれ、共感してくれ、励ましてくれる様子も見受けられた。TECの神ルールとして「メンバーの誹謗中傷は厳禁」とある。決して強要されることもなく、それでいてメンバーのみんなが英語の勉強を頑張っているので自分も頑張ろうというモチベーションも持続し、なんと1ヶ月のお試し参加の期間に英語の勉強の習慣がついたのだった。なんか良い環境かも。。
無料体験を終えて
1ヶ月の体験で英語力が上がったわけではないが、英語の勉強が習慣となったこと。それ以上に「英語が話せるようになる」という一つの目標を持ったメンバーが集まり、切磋琢磨して成長していくというコミュニティにますます興味をもったし、せっかく知り合った全国各地に住むメンバーにリアルに会ってみたいと感じた。TECのコンセプトは「自己探究し」「自己表現し」「共感し合い」「世界と繋がる」。単なる英語の勉強コミュニティではなく、“会社に依存しない自分らしい生き方“をTECで体現できるようになるかもしれない。月額は1500円か。これくらいなら、小遣いのやりくりでやっていけそうだ。
Solarさんが目指す世界は「言語・文化・宗教を超越した地球人同士のコミュニケーションの輪が広がるボーダレスな世界」らしい。困ったときにいつでも世界中から仲間が飛んできてくれるような信頼関係が築けるとしたら最高だな。
会社という枠を超え、新しい環境に飛び込むことで、自分は変われるのかも。それが人生が変わるということなのだろう。不安でいっぱいだった闇の先に微かな希望の光が差し込んだように感じた。